近年、「大人の発達障害」という言葉が随分広まったように思います。しかし、どういうものかと言うと中々説明が難しく、よくわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は「大人の発達障害」について書いてみます。
発達障害と一口に言っても、知的障害、自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如・多動症、チック症など含まれており、その表れ方は一様ではありません。発達障害は基本的に先天的なものなので、「大人の」と付く場合、子ども時代や学生時代には気づかなかった、あまり気にならなかったということです。そういう意味では「大人の発達障害」は発達障害の中でも軽度なものに限定される、いわゆるグレーゾーンです。
自閉スペクトラム症の名前にも含められていますが、発達障害は概ねスペクトラム(連続体)と考えるのがわかりやすいです。スペクトラムは真っ黒から真っ白までの色のグラデーションによく例えられます。グレーゾーンという表現もここから来ていますね。私たちみんながこのグラデーションの中に入るということです。濃いか薄いかの程度です。例えば、せっかちな人、騒音が苦手な人、カレンダーが少し斜めに掛かっていると気になる人、Tシャツの内側についたタグが肌に触れるのが気になる人、一度気になると他に意識を向けるのが難しい人、広い意味ではこれらも発達障害傾向になります。
ただし、これを誤解してしまうと、何でもかんでも発達障害と片付けられてしまいます。事実、近年そのような風潮が広まっているようです。何でも発達障害と決めつけるのは良くないですが、「誰だって発達障害傾向を持っているんだ」と考えることは、障害受容につながる大切な考えだと私は思います。
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