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便利な言葉の落とし穴

何か良くないことがあった時、「ムカつく」とか「ウザい」で片付けていませんか。


これらの汎用性のある(色んな場面で使える)言葉は、便利なのですが、人間の「気持ち」というものは一言で表せるほど単純でない場合が多いです。


例えば、

友達と買い物に行く約束をしていたが、当日ドタキャンされたとしましょう。

まさに「ムカつく」が使えそうな場面です。

「ムカつく」という場合、大抵「怒り」が強そうですね。しかし、よくよく考えて見ると、それは他にも色々な感情や想いが混ざり合ったものであったりします。


楽しい予定が消えてしまった「落胆」

約束を守らない友達への「失望」

ドタキャンされた「虚しさ」

友達に大事にされてないかもしれない「寂しさ」

友達じゃなくなってしまうかもという「不安」

友達が自分より優先させた事や人への「嫉妬」

自分は優先される人間ではないという「劣等感」


他にも色々あるでしょうが、こんなところにしておきます。「ムカつく」の裏側に沢山の気持ちが含まれていることおわかりいただけたでしょうか。


このように細分化する意味は何かと言いますと、自分の気持ちをより正確に捉えることができます。

そして、自分はどうしたいのか、相手にどうしてもらいたいのかが見えてくる場合があるのです。


例えば、先ほどの場面において、

「ムカつく」だとその友達を非難する気持ちしか感じられません。それを友達にぶつけるとケンカになりそうではないですか? 本当に友達じゃなくなってしまうかもしれません。


しかし、「寂しさ」もあると気づいたらどうですか? 友達にちゃんと来て欲しかった、大事にして欲しい、という願いがわかりますね。そして自分は友達を必要としているということにも気づくかもしれません。それに気づいたならば、最悪でも友達関係が破綻するまではいかないと思いませんか。


「死にたい」という言葉にも同じことが言えます。そのままでは生きていることが嫌になったということしかわかりません。

「何をやってもうまくいかない」、「友達がいなくて寂しい」、「身近な人が誰も信じられない」、「お金を稼ぐ手段が見つからない」、「ひどく怒られてばかり」、「休めない」、「他人が怖い」

などなど、別のピッタリくる言葉を探すことで、解決策に近づける場合があります。漠然とした「死にたい」を繰り返すだけでは気が滅入るばかりです。


最後に気分を変えて、「かわいい」について。どんどん使う場面が増えている言葉ですね。外国人にも外国語に変換することなく、そのまま「kawaii」と使われます。意味が広がってピッタリくる外国語がないのでしょう。英語の「cool」もかなり広いですが。

色々なものを「かわいい」という人がいます。例えば美しく盛り付けられたパフェをみても、「きれい」とか「美味しそう」ではなく「かわいい」です。違和感がある人も多いでしょうし、私も少し変な感じはするのですが、これはこれで良いとも思っています。みんなで別々の評価を口にするより、「かわい〜!」って揃った方が連帯感が生まれそうだからです。ポジティブな言葉は細分化するより、ざっくりな方が良いのかもしれませんね。

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